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そして俺は固まった。
何かもう、見た感じどこかの本に出て来そうなキラキラした王子様みたいな人。
高い身長に長い手脚。
スッと通った鼻筋は、一目見てモテる、と思った程だった。
流石に驚いた俺は、手に持っていた本をバサリ、と大きな音を立てて落としてしまう。
イチゴのタルト:彼氏が喜ぶスイーツ特集♪甘さは控えめ!
なんて見出しがついたページを見て我に返った千晶は、すぐ様本を拾おうとした所、横から伸びてきた長い手にまたしても固まった。
その手はゆっくりと流れるような動作で、千晶の足下に落ちた本を拾い上げた。
その時ふわりと漂った甘い匂いに、
ああ、なんだ。本の匂いじゃなかったんだ。
どこかぼんやりとして上手く働かない頭を必死に働かせながら、千晶はそんなことを考えた。
「…はい、どうぞ?」
低音の心地良い音と共に自身の前に本が差し出され、千晶はパッと顔を上げた。
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