1章:甘いものは程々に

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まあ、こないだも女の子に間違えられたし、中々成果は出てないんだけどね…。 「まだまだ頑張りが足りないってことだよなあ~。」 そんなことを考えつつ、千晶は自転車のスピードを緩める。 力の入っていた足から力を抜き、チラリと時計を見る。学校を出てからまだ10分しか経っていなかった。 時間はまだ大丈夫。 そう思いながらブレーキをかけると、自転車はキキーッと高い音を響かせながら止まった。 千晶はこの音が好きでは無かったが、今は気にならなかった。 (よかった、結構空いてる。) 千晶は道路を挟んで反対側の駐輪場の方を見た。 そこは図書館の入り口から一番近い駐輪場で、多い時は隙間なんて無いんじゃ無いかと思う程混雑している。 だが、今日は空いているらしい。 ラッキー、なんて思いながら道路を渡り自転車を停めると、カチャリと音を立てながら鍵をかけた。 そして素早く離れて入り口まで走る。 その時だった。
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