1章:甘いものは程々に

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「甘党男子」 別名、スイーツ男子。 それは甘いもの好きの男性の総称であり、ここ最近でその人数は格段に増えてきている。 そこに目を付けたのか会社も多く、最近は男性向けのスイーツも次第に多くなって来た。 特に、コンビニなどで手軽に購入できるスイーツが人気で、そのボリュームも女性向けの物とは比べものにならない。 更に、甘党男子向けのサークルや、スイーツバイキング、カフェなんかも続々とオープンしている。 比較的大きなスペースに書かれてあったその記事を、食い入るように読んでいた朝倉千晶は、自他共に認める根っからの甘党男子で、それに若干の恥じらいを感じている一人の男であった。 千晶は目を輝かせながら雑誌を閉じると、ゆっくりと目を閉じた。 (ああ、此処まで長かった…。) 時代がやっと追いついたんだな、なんて偉そうな事を考えていたら、これまでの苦労が走馬灯のように頭を巡る。 思わず涙が出そうになった。 何故なら、千晶の力の源と言っても過言ではない、大好きなスイーツ達に辿り着くには、とあるリスクを回避する必要があったからだ。
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