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政宗はちゃんと静かにしてろよ?
なんて付け加えながら、千晶は淡々と言った。
平然を装いながら二人の様子を観察すると、政宗の方は考えていることが手に取るように分かった。
大方、あれっ?怪しいと思ったけど、普通じゃん!なんで?!
というところか。
こっちはチョロいものだ。
問題は遙。
こいつは本当に何を考えてるのか分からない。いつでもどこでも無表情。口数も少ない。
正直、今どんな事を考えているのか予想すらつかない。
やっぱり、
図書館に何かがある
と気付いただろうか。
いや、きっと遙は気づいている。
こいつが気づいていないはずが無いじゃないか。学年トップの秀才だぞ?
…だけど、そうなったら二人は毎回着いて来るようになるのか?
俺が何をしているか、何を目当てに来ているか分かるまで?
そうだとしたら、いつまでもは隠していられないんじゃないか?
そう考えて、ふと気付く。
…何故だろう。
別に、恥を忍べばそれで終わるはずなのに。
恥ずかしい以前に、何故か、何故か二人にあの人を見せたくない、なんていうよくわからない気持ちが、千晶の脳裏を過ったのだった。
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