1章:甘いものは程々に

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廊下へと続くドアをガラリと勢い良く開けた瞬間、頭の上に大きくて温かいものがポンポンと当たる。 それが二ノ宮先生の手だと気付いたのは、奴が横を通り過ぎてからだった。 「じゃーな、今度は気をつけろよ。」 なんて言いながら二ノ宮先生は去っていった。 「…なんだあれ?」 あり得ないほどの機嫌の良さに吃驚した千晶だったが、ふと鳴り響いたチャイムによってハッとした。 「…やっば、急がないと!」 左手に着けている腕時計の針は、16時50分を指していた。 慌てて廊下を走り抜け、1階に降りると靴を履き替えた。 チラ、と政宗と遙の靴箱を覗いたが、どうやら二人は先に帰ったらしい。 好都合だ。
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