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廊下へと続くドアをガラリと勢い良く開けた瞬間、頭の上に大きくて温かいものがポンポンと当たる。
それが二ノ宮先生の手だと気付いたのは、奴が横を通り過ぎてからだった。
「じゃーな、今度は気をつけろよ。」
なんて言いながら二ノ宮先生は去っていった。
「…なんだあれ?」
あり得ないほどの機嫌の良さに吃驚した千晶だったが、ふと鳴り響いたチャイムによってハッとした。
「…やっば、急がないと!」
左手に着けている腕時計の針は、16時50分を指していた。
慌てて廊下を走り抜け、1階に降りると靴を履き替えた。
チラ、と政宗と遙の靴箱を覗いたが、どうやら二人は先に帰ったらしい。
好都合だ。
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