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「とーうーこーーーーー」
息を切らせて入ってきたのは案の定。
「ちっ、もう来やがったかシスコン」
「ああ、またそんな無防備に佐川に髪を触らせて!毛根から犯されるぞ!」
「そんなスペック無いし」
「瞳子、兄ちゃんの話を聞いてくれ。さっきの女子にヤキモチ妬いて怒って先に行ったんだろう。
本当に誤解だから」
「別に怒ってないし、好都合だからさっさと来ただけだよ。
さっさとお兄ちゃんも彼女作ればいいのに」
ムンクの叫びのようなポーズの剣さん。
「佐川くん、いこ」
瞳子さんが袖を引っ張る。
もちろん、すぐに立ち上がって手を差し出す。
重ねられる手が、心地いい。
教室まで、しばらくこのまま。
「とぉーこぉーーーーー」
武道館に遠吠えが響いた。
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