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教室が近づくと瞳子さんが目で訴える。
そろそろ他の生徒も登校してくるので、手を繋いでいるのが恥ずかしいらしい。
そっと手を外す。
教室に入るのを見送って、俺も隣のクラスのドアを開ける。
「おはよう、佐川のクセにデレてんじゃねー」
背中にカバンをぶつけてきたのは、奈津美さん。
「何すんだ、暴力女」
「朝からデレデレデレデレ、猫かぶって青春しやがって」
「……お前、さては昨日の合コン惨敗したな」
険悪ムードに飛び込んできたのは、松山の声。
「じゃあね、お昼までいい子にしてるんだよ。」
「うん。お昼一緒にお弁当食べてもいいの?」
「さあ。気が向いたらね」
「今日はバケットと野菜も持って来たから、その場でサンドイッチ作れるよ」
「ふうん。それは楽しみだな。でも、僕、ピタパンか生春巻の方が好き」
「分かった、明日持ってくるね!」
松山の彼女?下僕の由奈ちゃんが走り去って行く。
「相変わらずというか、凄まじいな」
「お弁当の域を完全に超えてるね」
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