桜梅桃李

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―ピピピッピ…ピピピッピ… 「あーもううるさいな…」 朝の寝起きは悪い。 今は多分6時の目覚ましだ。 あたし、橘美玲(たちばな みれい)。 先月までは日本のとある公立中学校に通っていたんだけど、親の都合でアメリカに転校。 小さいころから転勤族の家だから国内を飛び回っていたんだけどさすがに国外は… きつい。 まず、英語を使わなくちゃいけないでしょ? 苦手な上に嫌いな英語を使わなくちゃいけないなんて、本当に嫌。 辛いし、話しかけんなって感じ! …ってそんなことやってる暇じゃないわ。 学校に行かなくちゃ! 車に間に合うようにしなきゃ。 あ、アメリカは車通学なの。高校生から免許取れる。 貧乏な家はスクールバスだけれど。 あたしはパンとサラダとスープと言う軽い朝食を食べた後、車に乗りこんだ。 乗っているのは弟・橘廉(たちばな れん)と父・橘誠(たちばな まこと)だ。 「姉ちゃん、友達できた?」 「んー。色んな人がいるんだけど、英語使うの面倒だからあんま話しかけてない」 「ふーん。英語、そんなに面倒かな?」 「面倒でしょ。だってさ、日本では言いたいことぜーんぶ日本語で言えたのに、英語だと表現とか知らないから…」 「それは美玲が英語力ないだけだからじゃん。もっと勉強しろ」 「そうかあー」 父までそう言われては仕方がない。 英語力をつけなくちゃダメってことか。
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