籐山 臣親

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合宿会場は男の人で溢れてたケド。 合コンで男漁りに懲りてたから、恋愛なんてまるっきり頭に無かった私。 新人オリエンテーションでの雰囲気に呑まれて、それ所じゃ無かったって言うのもホント。 今季の新入社員だけでも300人を超えるような大きな会社に入れて、しかも周りはみんな年上ばっかり。 控え目にしても、化粧もネイルも綺麗なお姉さん達の中、スッピンな私は違和感もバリバリで。 狐の群に紛れ込んだ子ダヌキの気分。 だから大集会を終えてビルの小部屋に移動するとき、慌ててトイレに駆け込んで鞄を漁ったんだよね。 見つけたのは、ほんのりピンクの色付きと、苺の匂いがするリップクリーム。 お洒落アイテムを封印した私でも、社会人になるんだからお化粧の一つでもすれば良かったと、本気で後悔しながら涙目でぬりぬり。 それから掲示板を見て、私が行く教室(?)を確認して行ったら、ほとんどの人が長テーブルに座ってて焦った。 2~3人が座れる感じの長さのテーブルが、ずら~っと並んだ教室で、チカちゃんの隣がガランと1列だけ空いていたっけ。 本当は女の人と一緒に座りたかったケド、元々女の人は少ないのに、1人で座っている人は誰も居なくて。 しかも丁度目の前だった事も災いした。 教材のパンフレットを係りの人から受け取って、ずら~っと名前が書かれてるプリントに自分の名前を見つけて○して。 そしたら講師らしきお姉さんが、係りの人からマイクを受け取る所で。 悩む時間も、探す時間も、移動する時間も無いように思えて、慌ててストンとチカちゃんの隣一個分スペースを開けて座るしか無かったと言う状況。
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