籐山 臣親

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最初はどうなる事かと焦ったけど、これでもう変な人の隣りに座る事も無い。  これからはもう若菜さん、愛美さんと一緒に行動すれば良いんだもん。 配属される部署は気に掛かるけれど、1人きりの不安から解放されホッと胸を撫で下ろす。 その時私達の座る、隣りのテーブル席に誰かが座る気配がした。 「ゲッ…チカちゃん…」 ふと横を見た私の呟きに、ブホッと私の前に座っている若菜さんがうどんを吐き出す。 「チカ…ちゃん~?」 愛美さんがしげしげとチカちゃんに視線を向ける中。相変わらずムッとした表情のまま、チカちゃんは割り箸を割って、焼き肉定食を食べ始めた。 「ゲホ、ゲホッ…あ~ビックリした。  チカちゃんって、あの人の事?  ……何で…チカちゃん?」 ひとしきりむせ終えた後、若菜さんがコソコソと小声で囁く。 「フジヤマ オヤチカって名前みたい  なんで、チカちゃんに決めたんで  す」 私の説明に対して、それまで平然とご飯を食べていたチカちゃんが。 「トウヤマ オミチカ。  オヤチカって、それだとチカチカに  なるじゃねぇか。  まる子はヤッパリ頭ん中までまる子  だな…」 味噌汁を啜りながら、ボソッと会話に割り込んで来る。 「まっ…まる子じゃ無いもん!  美奈子ですっっ」 途端に私の中でゴングが鳴り響く。 けれどチカちゃんは涼しい顔をしながらご飯をもくもくと食べ続けている。 その余裕ぶった態度がホントむかつく。
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