谷口 美奈子

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「3番俺っ!」 せめてクールなタイプの彼であって欲しかったけど、照れながら手を挙げたのは私と同じハズレ男子。 「じゃ4番は?4番っ!!」 「あ。ミナコじゃ~ん?!」 私の手元を覗き込んだお友達が満面の笑みで暴露する。 合コンのメンバー集め目的だったから、上辺だけのお友達だった事が災いした。 2人共、私にキスの経験が無い事なんて知らない。 3番の男の子と目が合って、相手の子の笑顔が引きつった事で直感。 間違い無く失望してる感がさり気に伝わって来る。 そんな相手とファーストキス? 合コンを繰り返せば、いつかは恋が始まり、素敵な彼氏が出来るんじゃないかと思ってたのに…。 「4番でーっっす♪」 お笑いの役所と幹事だった使命感が、私の泣きたい気持ちをねじ伏せた。 記念すべき“初めて”より、場の空気を守る事を選んだ私。 満面の笑顔で、「バッチこーい!」と、相手が軽く引くくらいの元気さで、自分から進んでキスをした。 それからもゲームは終わらなくて、セカンドキスを女友達に捧げて。 結局、その時の本命の人とは何も無いまま、お互いの連絡先を交換してカラオケ合コンはお開きなムードに。 トイレに行くからと、女友達と部屋からハケた直後、携帯を忘れて取りに戻った私の耳に入った男の子の愚痴がこれまた最悪。 「八百長するって言ってたじゃん。  何でアイツなの?  もう、マジ最悪…」 八百長するつもりがあったんだ。 しかも最悪なんだ私。 凹んでる声に対して爆笑の声が漏れるのを聞きながら、その時私の心の何かがへし折れた。
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