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「今日何の日か覚えてる?」
本当に幸せそうな柔らかい笑顔で、岬は聞いてきた。
もちろん覚えているが、素っ気なく何の日だっけと聞き返してみる。
ちょっと不満そうに眉を寄せて、もうこれだから…と溜め息をついていたが、別に怒っている風ではなく、何やら考え込んだ後
とても楽しそうに笑い出した。
しまった、あれは何か思いついた顔だ。
何のおねだりが来るのかドキドキもんだ。
前回は女装させられた上、近所のスーパーに買い物行かされた事を、今更ながら思い出して青ざめた。
何でか僕は、彼女のドキドキ罰ゲームに逆らえない。
今迄どれだけやらされたか...
こうなったら覚悟するしかない
後悔先に立たずってこう言う事なんだ。
ニコニコしながら何か探している岬を見て、何だか楽しい気分になって来た。
ヤバい、洗脳されてるかもしれない。
どうしよう、素直に謝って罰ゲーム回避しないとせっかくの計画が水の泡になる。
しかし謝ってどうにかならないのが岬の手強い所だった。
どうしたものかとぐるぐる考えているうちに身体が揺れて、何か手に持って歩いてきた岬が遠くなって行く。
「ちちーちちー」声がする。
「栞はお腹すいたのです」
「ペコペコなのです」
あーしまった、起きなきゃ。
夢の余韻に浸っていたい気持ちをそっとしまって目をあけた。
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