第1章

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「今日何の日か覚えてる?」 本当に幸せそうな柔らかい笑顔で、岬は聞いてきた。 もちろん覚えているが、素っ気なく何の日だっけと聞き返してみる。 ちょっと不満そうに眉を寄せて、もうこれだから…と溜め息をついていたが、別に怒っている風ではなく、何やら考え込んだ後 とても楽しそうに笑い出した。 しまった、あれは何か思いついた顔だ。 何のおねだりが来るのかドキドキもんだ。 前回は女装させられた上、近所のスーパーに買い物行かされた事を、今更ながら思い出して青ざめた。 何でか僕は、彼女のドキドキ罰ゲームに逆らえない。 今迄どれだけやらされたか... こうなったら覚悟するしかない 後悔先に立たずってこう言う事なんだ。 ニコニコしながら何か探している岬を見て、何だか楽しい気分になって来た。 ヤバい、洗脳されてるかもしれない。 どうしよう、素直に謝って罰ゲーム回避しないとせっかくの計画が水の泡になる。 しかし謝ってどうにかならないのが岬の手強い所だった。 どうしたものかとぐるぐる考えているうちに身体が揺れて、何か手に持って歩いてきた岬が遠くなって行く。 「ちちーちちー」声がする。 「栞はお腹すいたのです」 「ペコペコなのです」 あーしまった、起きなきゃ。 夢の余韻に浸っていたい気持ちをそっとしまって目をあけた。
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