第1章

3/94
前へ
/94ページ
次へ
昼は特殊な業種を除いては ほとんどの人が働いている時間帯であり、 夜は独特の雰囲気を持つ怪しく、 かつ感傷的にもなる時間帯である。 それに比べて、朝、 とりわけ早朝はまさしく神々の時間帯なのである。 まだ、ほとんどの人が眠りから覚めず、 日中の大きさの数倍もあるオレンジ色に輝く太陽が 登り始めるこの時間帯は、 例え猛暑の真夏であっても、 ちょっと冷気さえ含んだ爽やかさで、 これから始まる一日のプロローグに相応しく、 空気も新鮮だ。 そう、 早朝という時間帯は、 その日のすべてがまだ純粋な状態であり、 汚れていない無垢な時間帯なのである。 この神々しい時間帯は、 それを体験したものでなくては わからない特別なものでもあるのだ。 そして、 その神秘的な時間帯では 何が起こってもまったく不思議ではない。 なぜなら人間が目覚める前の 神々の唯一の時間帯なのだから…。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加