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思いきって、母に写真を見せた。
「この写真のひと、お母さんの妹なんだよね」
母はバツ悪そうな、顔をして、写真を見た。
「ゴメン、勝手に見たりして」
母は、あたしに見えるように、写真をテーブルの上に置いた。
「ここに写ってるのは、あなたよ」
「……」
「そして、あなたを抱いているこの女性(ひと)が、あなたの本当のお母さん……あなたは、この女性から生まれてきたの」
母は、あっさり、そのことを打ち明けた。
「なんで黙ってたの? そんな大事なこと」
「あなたを、失いたくなかった」
「……」
「言わなければいけないことだと、わかってた。でも、そのことを知ったら、あなたはこの女性のところへ行ってしまうかもしれない」
「そんなの勝手だよ」
「……」
「なんで、お父さんは、お母さんと結婚したの?なんで、この女性じゃなくて、お母さんなの?」
「あなたを騙していたのは、悪いとは思った……でもね……」
「お父さんもヒドイよ、子供作っておきながら、この女性のこと裏切って、お母さんと結婚したりして……」
言っているうちに、だんだん腹が立ってきた。
「ゴメンね、月子……本当にごめんなさい」
「いまさら、遅いよ。謝られたって、どうにもならないじゃない」
「……」
「ちゃんと説明してよ。どうしてこんなことになったの? なんでお母さんは、本当のお母さんでもないのに……なんで……」
それ以上は、感情が昂って、言葉にならなかった。
母は、ゆっくりとした口調で、事の真実を語りはじめた。
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