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「でも……まぁ君の衣装、は?」
私のその言葉に、彼は再び優しげな笑みを浮かべた。
「杏純に任せ」
「任せないで!」
思わず出た言葉。
自分でも驚いて、急いで目を伏せた。
私のいつになく強い口調に、彼も驚いたようだ。
「杏……純?」
そう言いながら立ち上がり、私の顔を心配そうに見つめる。
私は下唇を噛み締め、浮かんでは消える数々の言葉を飲み込んでいた。
近付いて来た彼が、私の両肩に手を乗せ、今にも泣きそうな私の顔を覗き込む。
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