誓いマス

12/14
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「杏純?」  そう言われた瞬間、ポロリと涙が零れ落ちた。 「私は、まぁ君と一緒に選びたいの。一緒に決めたいの。一緒に……決めて欲しいのっ!」  拭っても拭っても止まらない涙は、私の顔をぐしゃぐしゃにした。  しゃくり上げて、言葉も上手く出て来ない。  ちゃんと言わなきゃ。  ちゃんと伝えなきゃ、私の気持ち。  子供のように泣きじゃくる私は、今彼の目に、どのように映っているのだろうか?  私の肩から背中に滑り降りた彼の両腕は、私の震える体を柔らかく包み込んだ。  彼の大きな手が、私の頭をよしよしと撫でて自分の胸に引き寄せる。 「ごめん……」  そう言われて、更に涙腺が緩んだ。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!