雨のち深海、時々幻

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霧みたいな雨で、そんな雨は傘をさしていても私にまとわりついて濡らしてくる。 いつもの水族館の前に着いた時は、 生憎そんな天気だった。 私の水族館。 クラゲしかいない為かわからないけど潰れかけてたのを、 特に使い道を思い付かなかった私の金で買い取ったものだった。 そこまで大きくない天井の丸いその建物に私は毎日毎日、 仕事が終わる度に通い続けていた。 閑散とした入場口に入り、入場を閉めて着ていた白衣だけを脱ぎ捨てる。 深夜12時に私は家に帰らずにそんな生活をしていた。 聴覚は、 コパコパと水が揺らめく音とブゥゥーンと電灯がなる音しか感じない。 視界も クラゲの入った円柱型の水槽の淡い青い光と闇しか見えない。 クラゲの足の奇妙な光がちらつくだけ。
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