1人が本棚に入れています
本棚に追加
「苦揺、ソファー。」
「はい、御父様。」
「苦揺、タバコ。」
「はい、御父様。
ただ御父様?
肺を痛めてしまいますよ?」
「うっさい。
あと苦揺、ビール。」
「はいはい、御父様。」
私の日課は、苦揺とまったりする。
たかがと思われるそんなことだった。
私はたぶん上半身は美人の苦揺にソファーになってもらって、
上半身の柔いお腹や胸の辺りを枕にして、
八本の蜘蛛のような無機質で艶々した足で、
自分の二本の足をマッサージしてもらって、
買ってきたタバコを吸って、
ビールを飲んだりしているのだった。
あとは苦揺から出る変な気分になる匂いに浸ったりしていた。
「御父様?
毎日こんなので気持ちよいのですか?
いっつもこのまま寝てしまわれるのですから…
たまには苦揺にご本を読んだり、
この壁一面のクラゲの話とかして下さいませんか?」
「うっさい。」
「……はあ、御父様。
貴方もう45なんですよ?
そんな子供みたいに」
「わあった、わかった!!
なんだ?
ガキでもわかるように相対性理論の話でもしてやろうか?」
「はーい、それならその理論の奴聞きますよー。」
頭が緩く緩く緩く緩くなる。
苦揺の匂いで頭が緩くなる。
私はそんな心地よくなる頭に全部を任せて、
私に抱きついているそれに意味がわからない話をずっとしていた。
笑ってたからか、
娘のひとつ目がなんだか綺麗で仕方がなかった。
話している間、
ずっとそれが気になって仕方がなかった。
最初のコメントを投稿しよう!