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「いいか苦揺、そうたいせえりろんってやみはなのあかははありなんだぞ?
わかったか?」
「はい、御父様。
相対性理論はとにかくすごいってことですね。」
優しいそうに、
頬なんか紅くして、
反対になった苦揺の顔が見える。
5本の指先で私の顔を
骨にそってなぞったり、
もうひとつの腕で首の真ん中をゆっくり撫でたりしていた。
「おまえわかってないなあ!!
だからおまえは俺の娘なのにバカなんだよ!!」
「はいはい。
おバカで悪かったですねえ。
あ、御父様。
涎が垂れていらっしゃりますよ。」
苦揺が私の顔を優しく持ち上げる。
冷たい指が顎の隙間をつつつっとなぞる。
苦揺の甘い甘い頭を緩くする匂いが濃くなる。
苦揺はそのまま私の口元に自分の口を持っていって、
三本の舌が別別に私を食べるみたいに這いずり回り、
強い苦揺の匂いが
鼻の奥につんと突き抜けるみたいに流れてきて、
もう頭がぐしゃぐしゃだった。
ちょうど周りのクラゲの光もぼやけてしか見えなかった。
「ったく…苦揺は。
お前のお母さんよりお母さんだし、バカじゃないし、綺麗だし、
変なやつだなあ。」
「ありがとうございます。
変なやつなんですね、苦揺は。」
なんかちゃぷちゃぷと涎を舌に絡める音がする。
苦揺が笑いながら私の涎を味わっていた。
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