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「お疲れ様です。広田先輩はスキーにチャレンジですか?」
「うん。でもスキー、やったことないんだけどね~」
「スノボやりませんか?」
「スノボ~?ダメダメ~!あれは骨折する人が多いから~」
菜摘先輩に話し掛けたのに、優先輩が反撃してくる。
「駿ちゃん。あなたスノボ上手いんでしょう?だったら上級者コースでやらないと面白くないわよ」
優先輩は俺の事を「駿ちゃん」と呼ぶ。
菜摘先輩は…。やってみてもいいかも~と言う雰囲気を醸し出していた。
「ねぇ優~。スノボも面白そうじゃない?」
「え?真面目に言ってるの?」
「もちろん。駿介、上手いんでしょう?だったら骨折なんてさせない指導をしてくれるわね~」
「もちろんですよ。そんな事になったら仕事に来れないじゃないですか」
「菜摘~。本気なの~?」
「うん。本気。優もやってみようよ~」
菜摘先輩の誘いに、優先輩も渋々同意する。
初心者コースに移動して、スノーボードを足にセットした。
「広田先輩、まだ立ち上がらないでくださいよ。今優先輩のボードを着けますから」
と優先輩のボードをセットしてるうちに菜摘先輩は立ち上がってしまった。
「わわわわ…」
菜摘先輩はバランスを取りながら危なげに滑り始めた。
俺は慌ててスノボで菜摘先輩を追いかけた。
倒れる~!一歩前で俺は後ろからなんとか菜摘先輩を受け止めた。
「まだ動かないでと言ったじゃないですか~」
菜摘先輩は俺の上に倒れたまま、「ごめ~ん」と謝っている。
なんならこのまま抱き締めてやりたい。
「ありがとね、駿介」
菜摘先輩は事もなげに笑いながら俺から離れた。
なんだよ、もう少し抱き締めさせてくれよ…。
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