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「広田先輩、俺、好きです」
思いもしない言葉が口から出た。
自分でも慌てている。
こんな場所で急に…。
「駿介、これスノボだよ?」
菜摘先輩は聞こえなかったのか、聞き違えたかでそう返して来た。
俺は慌てていたので、嬉しいような…残念なような…複雑な気持ちだった。
俺が下で待ってたら菜摘先輩を受け止めて倒れ混み、どさくさでキスをしてやる。
と、上から優先輩が「私も行くよ~」と滑り降りてくる。
おい。待てよ。
俺は優先輩まで抱き止めるつもりはないぞ。
「キャー!駿ちゃん!止まらない~!」
俺は慌ててスノボで優先輩の方へ行きなんとか抱き止めた。
と同時に倒れて、な…なんと優先輩の額にキスをしてしまった…。
「やだ~駿ちゃ~ん。私彼氏持ちだからね~」
少し離れた場所で菜摘先輩がワハハハと笑っている。
笑い事じゃないだろう!
俺は菜摘先輩にキスがしたかったんだ!
二人にスノボ板を外させて、また上に登った。
今度は俺は下に行き、菜摘先輩を抱き止めてやるんだ。
二人にスノボ板をセットして、俺は下に滑った。
「駿介~上手~い!」
上から菜摘先輩がそう叫んだ。
俺はグッジョブの手をして見せた。
「いいですか、じゃあゆっくり左右に揺れる様に滑って来て下さい」
「はぁい。菜摘、行きまぁす」
菜摘先輩は手を挙げてそろそろと滑り始めた。
よしよし。
今度はしっかり前から抱き止めてやるぞ。
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