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「あわわわわ~」
菜摘先輩は左右に少し揺れながら滑り降りてくる。
指導した通りに降りてこれる正確さは運動神経がいいのかも知れない。
さぁ~。そのまま真っ直ぐですよ~。
と待ち受けていると少し右に反れ始めた。
俺は慌てて止めに行く。
直前で菜摘先輩は倒れ、手で掴んだ俺の股の下を通り過ぎて行った。
「アハハハハ~」
また笑っている。
チキショー!
いつになったら抱き止められるんだ…。
優先輩はなぜだかストレートに降りてくる。
かなり加速がついてまた危ない滑りになっていた。
「駿ちゃ~ん!止めて~!」
真正面にやって来る。
俺も倒れ込みながら優先輩を抱き止めた。
なんで…。
優先輩ばかりなんだ…。
菜摘先輩を抱き止めたいのに…。
「伊藤~!上級者コースですべるぞ!!」
上から同僚の声がする。
俺は手を挙げて合図を送った。
ハイハイポーズの菜摘先輩は、ハイハイのまま優先輩に近付いて来た。
「駿介、板外して。上級者コースで滑ってきなよ」
菜摘先輩は優先輩の横に座りそう呟いた。
優先輩も頷いている。
「私たちちょっと休憩するから~」
あぁ…。
せっかくのチャンスを俺は逃がしてしまう。
仕方なくふたりの板を外してやった。
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