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僕らの家系は産まれて3年でその物語を聞かされる。
『梅野家は先祖代々武松家を恨んできたのよ。』『だから貴方達はその恨みを晴らすの。』『12年後、必ず接触する事があるから、其までにつのった恨みをぶちまけるんだよ。』
僕らは沢山の人に愛され、沢山の人に恨みを語られた。
僕には双子の妹いたけれど、僕は3歳のその日以外会ったことはなかった。
面会謝絶
双子だからだろうか。
時々、聞こえない筈の零華の声が、苦しそうで泣いているような小さな悲鳴が聞こえるような気がしたり、今すぐ逃げ出したいという想いがフとよぎったりした。
零華がどんな事をしていて、どんな事をされているかなんて全く知らなかった。零華も僕がどんな教育を受けているかは知らなかった。
『いつも運命は、思わぬ方向へ……』
僕が聞かされた最後の物語。
よく思い出せない。
『絶対に忘れるな』
『流されては駄目』
『必ず運命の歯車を止めるんだ。』
『君はそうなってはいけない』
皆が泣きながら語った最後の物語。
(いつも、運命は思わぬ方向へ……)
思わぬ方向……
これから何が、僕を待っているのだろうか……
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