Pure

彼は私の耳の髪をかきあげると耳に唇をあて、とっても甘くてとろけるような声で…

「愛してるよ、凛」

と、囁いた。
「えっ…！」って、叫びたかった声は忍さんの唇に塞がれてしまって発する事は出来なくて。
その代わりに漏れてくるのは、自分で耳を塞ぎたくなるような私の甘えた声。
出したいわけじゃないのに、愛しい人に触れられるだけで、こんなにもこの人の前では可愛い女の子でいたいって思えるんだ…

ソファの上で、息も絶え絶えに次から次へと繰り返されるキスに精一杯頑張る。
ジャケットを握り締めていた手のひらを、彼の大きい手が包んでくれた。
何故か左手だけは薬指をずっとさすっていて、何をしているんだろうと疑問に思ってもその事を聞く余裕すら与えてくれなかった。

「はっ…しの、ぶさん…
待って…」

上手く呼吸が出来なくて、逃げようと顔を背けるけど、向きを戻されてまた激しい口付けに翻弄される。
それさえも愛されている証拠なんだって思っちゃうのは、私の頭の中がおめでたいだけなんじゃないかと思うけど、キスの合間に
「凛、可愛い」
とか、
「好きだよ」
って、彼が囁いてくれるからどうしてものぼせ上がってしまうんだけれど。