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「…くしゅん!」
「大丈夫ですか?凛」
ソファの上で三角座りをしながら、忍さんのスーツのジャケットだけ羽織って身体を隠している私。
夜もふけてきて、さすがに肌寒くなってクシャミが出た。
「忍さんだけ、シャツもズボンも着たままなんてズルいです…」
「それはすみません」
謝罪の言葉を口にしたと思ったら、後ろから忍さんの長い足に挟まれて抱き締められた。
さっきまで引っ付きあっていたのに、少し離れただけでも恋しいなんて思っちゃう私は、もう重症かもしれない。
「…忍さん、暖かいです」
「そうですか?」
ワイシャツにスリスリと猫みたいに顔を摺り寄せた。
ボタンは3つ目まで空いているから、そこから仄かにいつもの彼の香りが漂ってきて、つい鼻をうずめたりして。
「こら、凛。やめなさい」
怒られちゃった。
でも、優しい怒り方だったから聞こえない振りをして、鼻をクンクンさせて忍さんの香りを堪能した。
「さっきみたいに襲いますよ?」
……それはもう自分の身体が持たない…
渋々、彼の胸もとから顔を離した。
「手足が冷たくなってきてますね。
服を着ましょうか?」
せっかく後ろから抱き締められたのに勿体無いなぁ…と思っていたけど、夜には肌寒い風が吹くこの季節。
このままだと本当に風邪を引いちゃいそうだ。
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