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あっ…そういえば、料理。
冷まそうとして置いておいたままだった。タッパーに入れなくちゃ。
着替えたワンピースの皺を伸ばした後、ペタペタと裸足でキッチンまで向かった。
多分、一週間分ぐらいのメニューは出来たはず。
本当は忍さんの体調も心配だから、何週間に一回くらいはこうして通ってご飯を作りに来たりしたいけど…
多分、無理だろうなぁ…
この家具、処分するまで呼ぶ気無いって言ってたし…
ふと、その時の言葉を思い出してみる。
あの時、忍さんは確かに私を呼んでくれるって言った。
しかも、私達二人で選んだあの家のもの、全て一緒にこっちに連れてくるつもりだったって…
あ…っ…それって…もしかして…
私もこっちに住むって事で…
それって…もしかして、もしかして…
ど、同棲…………か、け、け、結婚…って考えても……
「凛」
「きゃあああ!!」
タッパーと菜箸を持ったまま、硬直した私。
その私の姿を、黒色のTシャツにデニムとラフな姿に着替えた忍さんが難しい顔をして見ていた。
「どうしたんですか?全然動かなかったので…」
「い、いえ…何でも…す、すみません…」
急いでタッパー作業再開。
結婚なんて…また一人で盛り上がって恥ずかしい思いをする所だった。
あんな恥ずかしい思いは二度としたくないから、私からはもう黙っておこう。
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