Pure

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忍さんと駅のホームで別れてから新幹線に揺られて三時間弱。 私が住んでいる最寄りの駅に着いた。 彼はいつもこんな風に揺られて帰って来てくれているんだな、なんて実感しながら。 家に着いたらすぐに出勤の準備。 長距離移動のはずなのに、身体も心も全然疲れていない。 これが満たされているって事なんだろうな。 忍さんが用意してくれたグリーン車のおかげかもしれないけどね。 今日も出勤したら吉田さんに色々と聞かれるんだろうな。 でも、何言われたって全然平気。 だって、忍さんとの絆をちゃんと確認出来たもん。 「おはようございまーす」 いつもの通り従業員専用の入り口から、いつもの挨拶で元気良くスタッフのみんなに挨拶をする。 「あっ、おはよう秋澤さん! ねぇ、昨日行って来たんでしょ? 遠距離恋愛の彼の家。 どうだった?」 ほら、やっぱり聞いてきた吉田さん。 でも、大丈夫。 ちゃんと返す言葉は用意してるもん。 「吉田さん、お休み変わっていただいてありがとうございました!」 「いえいえー、いいのよ? でっ?」 「おかげさまで、すっごくいい連休になりました! 彼からもプレゼントのネックレスも貰ったし、合鍵まで渡してくれたんです!」 「………へっ?」 「あの、もしよかったら近い内また、連休貰ってもいいですか? 食事、作りに行ったりもしたいので」 「えっ…えぇ…まぁ… あー、その、彼氏さん、浮気とかは…?」 「するわけないです! あの人に限って!」
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