Pure

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[無事、着きましたか?] 顔文字も絵文字も無いシンプルなメール。 忍さんらしい。 [はい、着きました(^-^) 今、仕事中です♪] しばらくして、返信が来た。 [それなら良かったです。 でも、勤務中はメールはしないように] って入ってきた。 忍さんだって勤務中なんじゃないの?って思ったけど、ここはあえて可愛く謝っておく。 [ごめんなさい(._.) でも、嬉しくて返信しちゃいました。 次から気を付けます(;_;)] 返信。 多分…これで彼は少しは許してくれるはず。 しばらく返信が数分こなかったんだけど… 少し経ってから返信が来た。 [仕事に支障をきたさない程度なら] とだけ返ってきた。 その内容にクスリと笑ってしまう。 彼もやっぱり私と同じ気持ちでいることが嬉しくて、嬉しくて。 そんな時、吉田さんの声が聞こえてきた。 「秋澤さーん、10番テーブルのオーダー行って来て」 「はーい!」 スマホをポケットに直して仕事に集中する。 だって、たった今忍さんと約束したばかりだから。 仕事に支障をきたさないようにって。 あとでお昼の休憩の時にまたメールしようかな? 今度は何が食べたいですか? いつ帰ってきますか? …いつ行ってもいいですか? って。 行くのは私と忍さんのもう一つの家。 そして、私のキーケースには一本増えた鍵。 それは何よりも心強い御守りみたい。
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