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ただ、老婆と出会った場所が自宅付近だから見つかるのは時間の問題なのかもしれない。
彼女の話を聞かなかったために、教徒らがその宗教への冒涜だと騒ぎだし、家を特定されて大人数で攻め入ってきそうだ。塗料が剥がれて木材がむき出しのオンボロアパートを見たら、間違いなく火をつけるだろう。
隣が空室だとはいえ、被害は間違いなく全体に及ぶ。
ーーこれは……とんでもない事をしてしまったのかもしれない。
ただ気になるのは、あれは老婆ではない。僕の勝手な予想だけど。
小さな子が嗄れた声を作って、肌を見せないように黒い装束を身に纏ってフードを深くかぶっている。
顔は何だか生気を感じさせない白さで、瞳は見えなかった。彼女はおかっぱヘアのようで、ぱっつんな前髪に瞳が隠されていたのだ。
漆黒の帯で結った腰のリボンと髪型から日本人形のようでもあり、服装を含めると死神にも見え魔女にも見え……どれであっても危険な香りしかしない。
ーーその背の低さ以外は。
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