皮膚の下は怪物

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本日は、晴天なり。 もうすぐ午後になると言うのに、眩しすぎて溶けそうなくらいに熱を帯びた日差しが、室内を容赦なく照りつけている。暑い…本当に暑い。思考は熱を持ちあやふやだ。 現在夏、真っ盛り。汗が次々に額から吹き出し、頬を伝い顎から滴り落ちる。ジリジリと鳴き止む気のない蝉の声が煩わしくて、頭がおかしくなりそうだ。 …いや。 考えてみれば、汗の落ちた先に座り込む"奴"は、既に頭が沸騰してもはや手遅れになっているんだろう…チラリと見たその姿を見て、溜め息を吐く。じゃなけりゃ、こんな馬鹿らしい状況になんてなっていないはずなのだ。 ──そう。 もう皆帰ったであろう、夏休み始まりの日を明日に控える教室。ガラリとしたその室内の端で…ニヤニヤ笑いながらアイスでも舐めるかのように、俺のアレから溢れる白濁の液体を忙しなく舌で掬う…親友と、堂々と性行為に走ってると言う、ベタすぎて誰もやらないスリルを味わうための馬鹿げた状況になんて。普通ならない。 「ん、うぐ、…っ」 「…は。お前の、濃いよ」 「味あんの、かよ…」 「まあね。大人の味…ん」 ジュウッと、その美味しくはなさそうな白濁の液を啜りながら、文字通り意地悪な表情を浮かべた奴が、俺の股についたソレを、先程から何故か美味しそうに舐めている。大人の味がするらしい。もはやグロテスクとしか表しようのない唯の生臭い肉の塊なのに、そんなに懸命に舐められると、自分も味が気になって…ない。 (んなわけあるか気持ち悪い) 一瞬暑さでやられそうになり、脇道に逸れた思考を頭を激しく振って冷ます。危ない。俺まで変な考えを起こすところだった。 話を戻そう。つまり、訳がわからない事になっているのだ。 正常さを失う程に頭が暑い。夏の暑さに乗算された興奮からの熱さ。もうなんか考えるのも面倒くさくなって、さっきからボーッとしたまま奴を見つめている。でもその頭ん中にも、1つだけ考えられることが残っていた。 あー…気持ちいー…なんて。 ダメだこりゃ。 (そんなこと今考えなくても体が主に反応してるだろ!) 思いながらも、煮えた思考ではそれ以上先に進めそうにないので諦めた。
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