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…それなのに。
だから今現在、俺はとてつもなく驚いている。俺が今のこの行為についてOKした覚えはない。俺が誘ったわけでもない。それでも奴は俺にエロいことを強要する。こんなこと初めてだ。
奴は、意地悪な性格だ。けれど、嘘はつかない。自分の気持ちに正直なんだ。だからそんな素直な奴が、俺は友達として好きだったし、嘘がないから真っ直ぐ付き合えた。
だから…これも多分奴の"正直"。
俺は今まで友人としてやってきては居たが、こんなに強引なコイツを見たことがない。
まあ…セックスの時に人が変わるなんてこともよく聞くが…ともかく、自分の知る限りでは会ったこともない比叡だった。
「…きもちいだろ?なあ、どうだ…?」
…だがしかしこの男、一体俺に何を言わせる気なのか。
頭を抱え、快楽の波をなんとか誤魔化しながら考えを働かせる。
確かに気持ちはいい。色々ヤバイくらいには。
しかし、俺にそんなことを聞いても何もいいことはないだろう。それに感想なんて言えるわけない。恥ずかしいにもほどが…。じゃない。そんなのはどうでも良いから、本当に何でコイツこんなに上手いのか。
俺だって女の子と付き合ったことはあるし、エッチも少し経験がある。
だが。女の子にされたとき、こんな身が震えるような気持ち良さは味わえなかったような気がする。
そう思ったら…何か。
(…ちょーっと、ムカついてきたわ)
何に対してイライラしているのかは、自分でもわからない。でも、比叡に何でも負けるのは…何だか癪に触ったんだろう。
そして、俺は行動に出る事にした。
まず最初に言うが、俺はホモじゃない。よって、コレは比叡に対する対抗心で始まったことだ。
男の沽券に関わる気がしたから。
「…舐めんの、上手いんだな…っ」
「当たり前だろ。何十本くわえたと思ってるんだよ」
けらけら。
至極おかしそうに笑う比叡。
多分、からかってる。エロいことが苦手な俺を。でもその言葉は正直者の彼の本当の言葉だ。
分かってる。冗談のつもりだ。分かってても、今は分かっている方がムカついた。
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