壱章ー教育ー

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この世界において“属性魔法”、所謂炎属性や月属性などは例外なく属性魔法として区分される。 しかし魔法士にはもう一括りの魔法系列が存在する。 それは“系統魔法”、、、系統使い達が行使する魔法のことである。 これら属性魔法と系統魔法は似て非なる存在で、例えば身体強化を例にして挙げるとする。 属性魔法の身体強化とは、体内魔力の一部を血液へと流し込みその魔力を属性変換、炎属性ならば膂力・雷属性ならば速度の強化と行った具合に過程を踏んで発動する。 この時間違えないようにしてもらいたいのは、あくまでこれは身体強化であり“魔法”ではないということ。 対して系統魔法は過程そのもの、というよりも本質そのものが違う。 系統魔法における身体強化は一つの魔法として成り立っているのだ。 系統魔法は系統別に特性が存在する。それは以下の通りだ。 移動【振動】 維持【固定】 形成【変化】 捕捉【掌握】 例えば移動速度を強化する場合、魔法士【系統使い】は自身の魔力を属性変換ではなく通常の魔法行使を行うのだが、ここから属性魔法との違いがある。いや、唯一の違いがある、、、それは魔法を詠唱ではなく“イメージ”で行使するのだ。 自身の移動に対する振動数を増減させ移動スピードを各段に上げたり、対象の速度、さらには原子レベルで振動を操作し温度さえも極めさえすれば絶対零度や灼熱地獄を造り上げることも可能だろう。 イメージが終えたらばそのイメージを魔力に伝える為に固有名を唱える。 この例の場合ならば【単一振動式・瞬動】と。言うなれば属性魔法の詠唱破棄に近いものだ。 「攻撃直後に即座に高速で移動する事による逆探知の阻害、、、振動式。または此方の位置情報を正確に割り出せる掌握式。」 シルフィは四方から飛来する雷撃の雨や地面に生える石の棘をギリギリで避けながらも必死に考える。 系統使いの優れた点は属性魔法も系統魔法もどちらも使いこなせると言うこと。元々は高位の魔法士が特異的に系統魔法を使えるようになった事例が大半を占めるからだ。
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