始まりの日

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あれに着いていけば、父と再開できるかもしれない。 そう思い、無理やりにでも割り込もうとした時。 それは突然起きた。 内臓を揺すり上げる程の振動が、自分を、道路を進む人間達を、世界を襲った。 電脳世界では滅多に起こらないはずの地震に、人間達はパニックに陥る。 罵声や怒声は瞬く間に悲鳴へと変わり、一定方向に進んでいたはずの人達は、蜘蛛の子を散らすようにバラバラになっていく。 自分がいる建物の影にまで容赦なく入り込んでくる。 吐瀉物を踏み散らしながら、自分ごと押し流して行く。 されるがままになっていると、再びの地震。いや、前の揺れが収まっていなかった。つまり、地震とは違うものだろう。 コンクリートの建物が崩壊を始める。 無我夢中で走っていると、ふと光が消えた。 思わず立ち止まる。もちろん自分も。 「なんだ……これ……」 男の声だ。震えている。 その視線は空を捉えていて、決して外そうとはしなかった。
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