第1章

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思わず顔に近づけて、何度もまばたきしてしまう、衝撃的な写真に絶叫してしまった。 「な、そうなるよな。 俺もなった」 先生が私の反応に声を上げて笑う。 そこには。 『結婚しました』 の文字と。 ウエディングドレス姿の悠花さんと、タキシード姿の白人男性が幸せそうな笑顔で写っていた。 「え、これいつですか?」 「さっぱり。恐ろしい情報量の少なさだから。 そのハガキ」   私の腰に腕を回し、きゅ、と力を込める。 「このこと、柴田君は?」 「知らない」 「まだ言わない方がいいですよね」 「だな。学年末終わってからじゃないと、あいつ全部赤点になりかねない」 空港での姿を思い出して、私と先生はどちらからともなく、頷いて密約を交わした。 「でも…………ほんとキレー」 もう一度ハガキに目を落とす。
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