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年が明けると寒さも一段と増して、雪が舞うひも増えていた。
「さっぶー!凍るなぁ」
学校からの帰り道。
マフラーで口まで覆い直し、片手をコートのポケットに入れる柴田君。
愛車の自転車にまたがり、地面を蹴りながら私と歩くスピードを合わせてくれる。
──悠花さんが旅立った次の日。
柴田君は髪を短くし、伊達めがねを外して登校し、みんなを驚かせた。
「失恋でもした?」
という、采女のド直球に、真っ赤になって否定していた柴田君を思い出す。
あとでこっそり、
「羽村やセンセー見てて、俺もこのままじゃいけないな、って思ってさ」
と、照れくさそうに頬をかきながら話してくれた。
事実、柴田君は学校でも本来の良さを見せるようになって。
弾けるような笑顔をたくさん見せるようになった。
それに比例するように、モテてるみたいで。
この頃から女子の間で
『髪モジャ・ネクラメガネ』
だった柴田君が、
『ピアノが超うまいイケメン』
に昇格してて少し笑えた。
いつだったか、ピアノが弾ける理由を聞いたとき
「あー、親父に仕込まれた」
「お父さん?」
あまり家族のことをしゃべらない柴田君から出てきたその単語に、聞き返す。
「あれ、言わなかったっけ。
ピアニストなんだよ。
柴田 智則って知ってる?」
「うっそ!」
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