非日常な日常

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普段ならチャイムを鳴らすと返事があるのだが、今日は物音すら聞こえ無い。 「ただいまぁ」 鍵を開けて中に入る。 案の定、誰も居ない。 留守電があるらしく電話のボタンが、チカチカと光っている。 ピッ。 再生ボタンを押す。 ドスの効いた低い声で『ごめんなさぁい』と、聞こえてくる。 またか。 この声は、ゾンビ化したあの人の声。 ゾンビ化すると、裏声が出ないみたいで、地声で話すあの人のメッセージを聞く。 「今夜はカップ麺かぁ…」 あの人は、ゾンビ化するとシェルターで戻るまで居て帰って来る。 シェルターは、ゾンビ化した人の避難場所。 普通は、人間が避難する場所だがゾンビ専用のシェルターもある。 「蛍、ぽっくんと一緒にお風呂に入るでし」 突然、自称父親の妖精が話し掛けた。
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