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「しかもU18なんちゃ!
親父のスマホでもコメできんかった。レビューはできるのに。
絶対ワシらと同じ高校生っちゃ!」
「へえー、てっきりおばちゃんかと……。
しっかし、コメ返絶対せんて有名な秋野愛に、親のスマホ借りてまでコメするか普通?」
「この町におる女子高生なら、何が何でもお近づきにならんとのぅ、でへへ」
本当に幸せな奴だよ隆。U18の小学生とは思わんのか。
まあどうでもいい。
秋野愛も携帯小説も、はっきり言って邪道。
俺にとってエブリは、アイディア探しを兼ねた、単なる娯楽なんだ。
「ああ愛ちゃん、何とかリア友に……」
「アホ」
「ふん、お前にゃ解らん!
林~お前なら解るよのぅ、この切なる願いが」
「え!……いや、まあ」
本棚の間から、チャラい格好の男が顔を出す。
いたのか、存在感なしのユーレイ部員、林。
授業中に推理小説読んでたとかで、それを発見した隆が引っ張ってきた奴だが、
未だに馴染めない。
それよりも。
「エブリの今度のイベント、『都市伝説』じゃろ。ミステリ研の血が騒ぐのぅ」
「お、書いたらまた読ませぇや。
でもこんな田舎にネタあるんか?」
「田舎も都会もねぇちゃ。
出所不明でまことしやかな現代の噂なら、何でも『都市伝説』なんじゃけぇ」
「へー。『都会限定の伝説』じゃないんかぁ。さすが広樹、博識!
――お、閃いたァァ!!」
また隆が素頓狂に叫んだ。
「六月の文化祭、決まり!
『周陽町の都市伝説』」
「何じゃそりゃ」
「『人気作家の秋野愛、実は周陽町民!?』
どうじゃ、コレ。
描かれた風景を探して写真撮って、該当文章を添えてパネル展示!」
「……確かに話題性はあるのぅ」
「じゃろ!? ほんでもって、まかり間違うたら本人に辿り着いたりして! ぐへへ」
目的はそっちかい。
「やめようぃや。すげぇブスかもしれんで?」
お、珍しく林が食い下がってる。
「いいや絶対、引っ込み思案な美少女! 間違いない!
文化祭はコレで行くで、ハイ決定!」
その気になった隆部長に逆らう術はない。
こうして俺達は『秋野愛』を探る活動を開始した。
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