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暖簾をくぐり抜け、案内された席に向かうと、そこにはお馴染みの面々がほろ酔い加減で盛り上がっていた。
「でね、さっき確認して来たんだけど…」
「うわー、マジかよ」
「それでそれで?」
話の中心人物は、山瀬さん。
「お疲れー」
盛り上がっている所を悪いけど、空いた席に二人で腰を下ろしながら声をかける。
「あーーっ!
やっと来たんだ、営業部の二人組。
ちょっとちょっと聞いてよ。ビッグニュースよ!」
「落ち着け、山瀬。
俺らは来たばかりなんだ。
先に一杯ぐらい飲ませろよ」
今にも喋り出しそうな勢いの彼女を制し、運ばれて来たビールに口を付けている。
「で?
ニュースが何だって?」
ジョッキの中身を半分ぐらい流し込んだ後、横でウズウズとしていた彼女に溜め息交じりの問いかけ。
山瀬さんは社内一の情報通だ。
同期会の度に、ビッグニュースとやらのゴシップを披露してくれる。
彼はあまり興味がないようだが、それもそのはず。
いつも自分の話題が上がるから、いい加減うんざりといった所なんだろう。
無駄に顔が良いと、平凡な顔立ちの人に比べて良くも悪くも「噂」が付きまとうものだから。
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