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「ここで、何してる?」
「僕は、……」
後に続く、言葉がなかった。
僕は?
一体、何をしているんだろう。
青司は、薄く唇を開いて固まった僕に、解った、と言った。
「解った。とりあえず、うちに来い」
「え」
「ひとりに、しておけない」
今は、と付け足して、彼は僕の手を取った。そのまま歩き出そうとするから、僕は彼を見上げて名前を呼んだ。
「せ、青司」
「何」
「手……」
「逃げない?」
必死、と言ってもいいくらいに。
彼は僕を引き止めようとしてくれていた。僕は、うん、と頷いた。
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