玉勝間

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 きっと普段は女性にちやほやされてるはず。  でも全て女が愛想よくすると思ったら大間違いだ。  私の中のSが舌を出す。 「命連寺亜紗っていいます」 「亜紗君か、良い名前だね。学校はどこなの」 「紅葉丘高校の一年です」 「紅葉丘ね。二十号線の向こうか……。ここは学校から大分離れてるけど、どうして来たのかな?」   「ちょっと事件のことに興味があって」 「へぇ、興味ってどんなこと」  銀縁メガネの奥の瞳が鋭くなった。  私の警戒レベルがマックスになる。 「別に……。テレビでやってたから」  なんとかごまかしたけど、ちょっと口ごもったのは失敗。  賀陽さん鋭そうだから何か感づいたかも。 「そうかぁ。でも君、ちょっと見ただけで離れたよね。興味があったんなら、もう少し長くいても良いんじゃないの」  賀陽さんは私を見ていたのだ。  鼓動が速くなる。 「案外つまんなかっただけです」 「ふーん」  賀陽さんは私から興味が失せたかのように視線を河川敷に向ける。  でもそれは上辺だけ。  内心はクエスチョンマークで一杯。  賀陽さんが発する疑いのオーラがびんびん伝わってくる。 「――亜紗君は事件について何か知ってるんじゃない?」  賀陽さんは河川敷に顔を向けたまま言った。  鼓動が更に速度を上げる。 「な、何にも知りません」  しくった、どもっちゃったよ。  賀陽さんは私に射抜くような視線を向ける。 「君は僕の知り合いと似た雰囲気を持ってるんだよ。彼らは不思議な人達でね、一般人には無い力を持ってる。だから亜紗君にも、何か変わった力があるんじゃないかって思ったんだけど」  さすが警察、ハンパないな。  でも、さっき知り合ったばかりの人に秘密を話すつもりはない。 「力って何ですか。霊感とかテレパシーとかですか」 「いや、ちょっと違うんだけどね」 「もしかしてオカルトマニアですか」 「あはは、そっちへ持ってくか。参ったな」  賀陽さんは、ばつが悪そうに頭をかいた。   「あの、もう良いですか。そろそろ帰らないと」 「あっそうか。ごめんね引き止めて。だけどもう少し君の話が聞きたいな。電話番号教えてくれる?」  私の返事も聞かず、賀陽さんはポケットからスマホを取り出した。  有無を言わせず携番ゲットしようとするあたり、さすが遊び慣れてるわ。
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