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駆け付けた少年の腕の中で、兄はすでに事切れていた。
「ごめん……兄さん。間に合わなかった……」
戦地のどこかで、少年の慟哭が響いた。
後から少年は知らされた。
少年が所属していた隊は全滅。
近くの陣営も軒並み潰され、少年だけが生き残った。
この戦いで少年は名誉ある称号を手に入れた。
しかし、釣り合いが取れているとは微塵も思えなかった。
兄が死に。
唯一の友を亡くし。
優しかった隊長ももういない。
組織での居場所もなく。
家族からは逃げ。
恩人の慰めを拒み。
師の激昂を払い除けた。
いくつか歳を重ねた後から、少しずつ気付き始める。
そのほとんどがまだ子供だった、自ら招いた事であるということを。
それでも選んだ行動の修正は効かず。
悔やんだ過去の時間は戻せず。
少年の両手からは多くの希望が溢れ落ちていった。
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