01_プロローグ② とある少年の独白

2/3
前へ
/213ページ
次へ
ー♢ー 「強くなれ。どんなに辛くても、打ちのめされても、あきらめないで。遠回りで良いから、前に進め」  この不吉な激励を誰に言われたのか、どうしても思い出すことができない。  亡くなった兄か、組織のお偉いさんか。もしかしたらテレビで聞いた言葉をそのまま覚えているだけかもしれない。  無理に解き明かす必要もないけれど、的外れとも言えないのが気がかりで、未だに忘れ去ることが出来ないでいる。  1つトチ狂った話をすることをお許し願いたい。  俺には特別な力がある。  どこか別次元の住民たちが残していった遺品を受け継いでしまったのだ。  こいつのせいで、普通とはかけ離れた特殊なレールの上をずっと歩いて来た。感謝なんてほとんどしたためしがない。  もと保有者の総称は『魔物』。  はるか大昔に俺たちがいる次元の世界を訪れ、悪評と力だけを残し、消えていった。  これ以上に、はた迷惑という言葉がしっくり来る集団もそうそういないだろう。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加