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近所の様子がそんな有り様なだけあり、静寂を破る声はよく響いた。
「ねぇねぇ。さっきからさぁ、俺らと遊ぼうって言ってんじゃんかさぁー」
聞こえて来たのはむさ苦しく、わざとらしい猫なで声だった。
ナンパか。この辺りでは珍しいな。話方からすると女を誘ってるってところか。
「だから、嫌だって言ってるじゃないですか。しつこいなぁ」
拒否する声は予想よりもずっと若かった。
ここは左右のどちらから来てもほぼ中央に位置する。ここまですれ違う人もほとんどいなかっただろうに。
よく引き返さずに来たもんだな、などとただ傍観してもいられなさそうだ。
「ったく、馬鹿じゃねーの」
誰も聞いていないのをいいことに、思わず本音が口をついた。
まったく、近所で女子暴行事件なんて冗談じゃないぞ。
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