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俺は、異世界への行き方なんて知らない。
異次元への行き方なら知っているけど…………。
そう、思いながら上を見上げる。
正確には、俺の頭上にある電線にだけど。
電線の上には、銀髪の少年と、黒髪の少年が立っていた。
いや、正確には喧嘩をしていた。
「てんめぇ!!!ニート、よくも体育の時間俺を見捨ててくれたな、ごらぁ!!!」
「は?貴様が、不用意に敷地の外に出たせいだろうが。良かったな、向こうで勇者になってちやほやされたのだろう?」
「使い潰されかけたわ!?」
「ふははは、それは貴様が無能だからではないか」
「死ね!!魔王」
「貴様が死ね。勇者」
「おーい。二人共あんまり、電線の上で暴れると切れて、御近所への迷惑になるから、程ほどにな」
もとより、電線の上でじゃれあう二人が怪我をするとは、思っていない。
「あ、鈴檎(りんご)先輩じゃん。ちーす」
「む、ああ。白雪さんか。相変わらず、白い顔ですね。」
…………とりあえず、こんな白昼堂々名前を呼んで欲しくない。
あと、顔が白いのは二人もだから。
「二人共、あとで手合わせしてくれる?」
その言葉に、二人は一瞬で顔を青ざめさせた。
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