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それは
秘書室の電話でも
GMオフィスの電話でもない。
温人さんの
個人携帯からの音だった。
黒いスマートフォンを取り出し
厳しい顔になった温人さん。
素早くそれを耳に当てた。
「私だ。
……そうか。
そのままラウンジに?
ありがとう。
すぐに向かうよ」
何だろう。
いつもと様子が違う。
トラブルだろうか。
そう思ったのだけれど、
私を見た温人さんは
何事もなかったように
普段通りの笑顔を作った。
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