『なんでも屋、設立までの軌跡!』

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 桜が散り始めて学校の校門通り、通称『四季通り』にある木々が徐々に緑をつけ始めた今日この頃。俺、火野炎真とピョコピョコとポニーテールを揺らして紙に何かを書いている女の子、桜井姫は放課後の教室に二人でなにかをやっていた。  ………いや、二人でっていうのはおかしいか。俺は巻き込まれただけで姫が一人でやってることだし。  「はぁ~~、暇だ………」  沈黙に耐えられず溜息と一緒にそんな言葉を漏らす。それを聞いて紙に向かっていた姫の顔が俺のほうを向く。  「大丈夫だよ炎真~。そろそろ炎真の役がやってくるから」  「俺の役?俺ってなんかするの?」  いつも姫と一緒に帰ってたからそれを待ってただけのつもりだったんだけど。  「あったりまえじゃん!ほら、これを生徒会に持って行くの!」  そう言って俺に差し出しのは、『なんでも屋』と上にでっかく書かれた部活動申請届だった。  「え、なにこれ?」  「見てわかんないの?部活を作るんだよ!」  自信満々に胸を張って言う姫。張る胸がないのが残念だ。  「ちょっと、今失礼なこと思わなかった?」  「いや全然。それより、なんで部活なんか作るんだ?」  「ふふっ!聞きたい?」  「いや別に」  「えっとね~、なんでかっていうと………」  意見を通してもらえなかった。  「炎真人助けするって言ってたじゃん?だから、その拠点となる場所を作ろうかと思って」  「え、それだけ?」  「うん!」  …………いや、確かに嬉しいといえば嬉しい。だけど、何もそこまで本気にしなくても………。あれは、場に流されて言っちゃった言葉っていうかなんていうか。  でも、俺のために作ろうとしてくれているのは素直に嬉しかった。  「………はぁ、わかったよ。その紙、生徒会に届けてくればいいんだろ?」  そう言うと、姫の顔がパァッと明るくなる。  「うんっ!よろしく、炎真!」  と、姫から紙を受け取り一つの疑問にたどり着く。  「………そういえば、生徒会室ってどこにあるんだっけ?」  「…………炎真、本当にこの学校の生徒?」  「………………」  この学校に入学して二年。まだ知らない未開の地があろうとは。この学校、なかなか奥が深いな……
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