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「そういえば炎真。昨日の申請届ちゃんと生徒会室に出してきたの?」
「へっ?ああ、人がいなかったけど、とりあえず目立つところに置いておいたよ」
翌日。俺はいつも通りの時間に姫とはかせと一緒に学校へ向かっていた。
「部活?なんのことだ?」
俺と姫の会話を聞いて、はかせが頭にハテナを浮かべる。あれ、姫のやつはかせに部活のこと言ってなかったのか。
「えっと、実は昨日ね………」
姫がはかせに昨日のことについて説明している間、俺はのんびりと葉桜になっている木々を眺めながら歩いていた。
………そういえば、昨日結局あのまま帰っちゃったけど、申請届はどうなったんだろうか?そのうち生徒会長が目に通すと思うから俺か姫が呼ばれると思うんだけど。
「……ってわけなんだよ!」
「………なるほど『なんでも屋』か。なんか面白そうだな」
俺が考え事をしていると、どうやら説明が終わったらしい。はかせが目をキラキラと輝かせていた。
あれは、なにかよくないことを考えてる目だ………。
「炎真、もちろんお前も入るんだよな?」
「へ?何に?」
「部活だよ。そのために申請届出しに行ったんだろ」
呆れ顔ではかせがため息混じりにそう言う。
何だその目は。まるでバカを見るような目で俺を見ないでくれ。それだと俺がバカだということになるじゃないか。
「まぁ、一応入るつもりではいるけど」
「…………炎真、入るだけであとはサボるとかはナシだからね?」
うぐっ。なんか行動が読まれてる気がする。
「そ、そんなことはしないって。全く、俺のこと疑ってんのか?」
「だって炎真、こういうこと絶対に面倒だって言ってサボるし」
だったら入部させなきゃよかったのにと思うのは俺だけだろうか。
いやその前にちゃんと申請届が受理されるかどうかがまだ分からないからな。最悪、受理されないってパターンもあると思うし。
「でも姫。その部活ってどんなことをする予定なんだ?」
首をかしげながら、前を歩いている姫にはかせが聞く。そういえば、俺もまだ具体的にどんなことをやるのか聞いてないな。
「んー?それはね――――――」
姫は、くるっと回転して俺たちの方を向き、可愛い笑顔を向ける。そして――――――
「困ってる人がいたら助ける!そんな部活にしようと思っています!」
自信満々にそう言うのだった。
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