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そのとき
「ぴーすか
ぷーすか
うるせーんだよ」
頭上で声がして
あたしは手を止める
見上げると
給水タンクの上から
彼の髪がなびいていた
「練習中なの」
あたしが言うと
彼が顔を出す
「聞いててよ
有宮くん」
くすっと笑った彼は
はしごに足を掛けて
降りてきた
「昼寝してたのに」
彼はふぁ、と欠伸をした
頬にはまだ
絆創膏が数個
貼ってある
あのときのケンカで
負ったものだった
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