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――どうしたものかね……。
ダーツのいる部屋から出たレイは、ため息を出さずにはいられなかった。
「どうして私がこんな目に……」
コツコツと、廊下を歩く音だけが響き渡る中レイは苛立ちを隠せずにいた。
運営委員にはそれぞれ皆、専用の個室を与えられていて、さっきまでいた殺風景な部屋はダーツ。
その他にも中路や達海の部屋もあるのだが、場所は離れており移動するには時間がかかる。
「そもそも人数の割にはここが広すぎるのよ……!」
実はレイ自身、自分達がどこにいるのか分かっていない。
普通に町中にあるビルなのか、それともどこかの地下なのか、または……
「達海さんが作った仮想空間」
だが今はそんなことどうだっていい。
現在レイが向かう先に、答えを知るものがいるのだから。
「そろそろ完成しているかしら」
3回戦が始まってからずっとモニターで監視していたのは、運営委員の中ではレイだけだ――ということを本人も知っている。
だからこそ、ダーツを欺くことだってできた。
「ここからが本番よ、中路君」
一人不敵な笑みを浮かべた金髪の女性の、緑の瞳が微かに光った。
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