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「一時間……二時間……いや、三時間は経ったか?」
一人呟いた疑問に答えてくれる人は誰もいない。
それもそのはず。
元からここには一人しかいないのだから。
かつて滝沢と共にドロップゲームに参加、そして勝利。
そのまま運営委員となった――達海は、額に溜まった汗を拭っていた。
今しがた彼女が口にした時間が何を意味しているのかというと、3回戦が始まってからどれくらいの時間が経過したかということだ。
――本来行われるはずだった2回戦の後半戦を止め、強制的に3回戦に移行した張本人。
だが消去法から判断して、このような機器を操作できるのはVHSを開発した達海しかいないのだが。
「何とかあの男が生きてるうちに完成しないと……」
部屋内に散乱した、電子機器、部品の数々。
床には膨大な量の資料も散らばっており、足場を見つけて歩くのも一苦労なほどである。
――こんなに頑張るのもVHSを作った時以来か……。
我ながらよくやっている。
いきなり「作れ」と言われた時は何の冗談かと思い、次いで「真剣だ」と言われた時は殴ってやろうかと思った。
「いくら私でもタイムマシンなんて簡単に作れないっての……!」
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